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推しを成層圏で撮影するという新しい試み
推しを成層圏で撮影するという新しい試み
ユニークな推し活マーケティングをご紹介する本連載。第三回目では、「推し宙プロジェクト」をご紹介します。推しグッズで写真や映像を撮るのは、もはや推し活の定番。自宅やカフェでの日常的なワンシーン、旅先での非日常的な風景――。どんなところでも、大好きな推しは撮りたくなってしまうものです。そんな推しをなんと、成層圏で撮影するというユニークな事業を、推し宙プロジェクトが「推し宙スペースバルーン」として開始しました。地上から約10~50kmの範囲に広がっている成層圏。宇宙には届かないものの、地球を見下ろすことができる場所です。地上から遠く離れた上空に推しを打ち上げるという、今まで想像もできなかった推し活はどのようにして誕生したのか。推し宙プロジェクトについてたっぷりとお話をうかがいました。
 
 

3社が手がける宇宙×推しという挑戦

 
推し宙プロジェクトは、スペースバルーンなどの航空宇宙関係の技術を有するChart(チャート)株式会社、国内有数の宇宙ニュースサイトを運営する株式会社sorae(ソラエ)、アニメプロデュースやVTuberサポート事業を行うふわころもち合同会社の3社による共同プロジェクトです。スペースバルーンの事業化を思案していたChart株式会社は、株式会社soraeの提案により、宇宙がテーマのキャラクタープロジェクト「にゃんたい観測」のキャラクターを成層圏に打ち上げました。そのプロジェクトに取り組む中で、推し活に転用することで、宇宙に興味を持つ人を増やせるのではと思い、2社で試験的に事業を立ち上げたそうです。そして、惑星科学者VTuber「星見まどか」や相模原市のマスコットキャラクター「さがみん」とのコラボを経て、本格的に推し活プロジェクトを始動。その第1弾として「推し宙スペースバルーン」の展開に至ったそうです。その後、プロジェクトに共感したふわころもち合同会社もプロモーションとして関わることになりました。いまだかつてない、空と宇宙がもたらす、斬新な推し活の魅力に迫っていきましょう!
 
 

成層圏まで推しが飛ぶ!
新しい応援スタイル

 
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「にゃんたい観測」の打ち上げ例
2025年1月から正式リリースされた「推し宙スペースバルーン」は、アクリルスタンドやぬいぐるみ、応援メッセージなどの推しグッズ(素材、重量などの制限あり)を、スペースバルーンを利用し、成層圏まで飛行させて撮影するというもの。まるで、宇宙空間に来たような美しい映像を推しに見せることができる、ユニークなサービスです。推し活には欠かせない生誕祭や周年祝いにも、うってつけですね。推しのファンはもちろんのこと、キャラクターやアイドルなどの推し本人、関連企業の担当者からも問い合わせを受け付けています。そして、依頼を受けた推し宙プロジェクトが起案者となる形で、クラウドファンディングを実施するという仕組み。ファンが一体となって、推し活を盛り上げることができます。なお、成層圏へ飛行したグッズは、地上または海上で回収することを前提としているそうです。

 
「推し宙スペースバルーン」がリリースされた際には、「おもしろそう」「こんなことをやる事業所があるのか」といった驚きの声が多く寄せられました。推し活をしている方からの問い合わせが多く、その反響は大きかったそうです。実は、成層圏にキャラクターを打ち上げるという事例は以前からあったとか。しかし、それを事業化し、一般の方々の推しを打ち上げるという取り組みを始めたのは、推し宙プロジェクトが初。それが、世間から注目される要因になったと言えるでしょう。ただ、周囲からの反響を得るのと同時に、課題に直面することもあったそうです。
 
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成層圏から撮影した映像
本サービスの仕様について、“推しを宇宙に飛ばすもの”と認識されているケースが非常に多かったと言います。宇宙と成層圏の違いが世間的にあまり理解されていないことを知り、宇宙に関する情報をもっと発信する必要があると感じたのだそう。だからこそ、「推し宙スペースバルーン」を通じて、たくさんの推しを飛行させることで「ここは成層圏で、宇宙への入口である」という正しい知識を広めていくことを目指しているそうです。また、現在は推しという括りで展開しているものの、キャラクター以外の打ち上げも検討しているとか。結婚記念日などのアニバーサリーの記念や大切な人への贈り物として映像を撮影するといった展開も視野に入れています。宇宙に興味がある人にもない人にもサービスを利用してもらい、宇宙業界をもっと盛り上げていきたい――。それが、推し宙のプロジェクトの熱い思いなのです。
 
 

宇宙の魅力を伝えて、もっと身近なものに

 
推し宙のプロジェクトは、今後スペースバルーンだけではなく、別の推し活方法も考えているようです。また、IPを持っているキャラクターのコンテンツと空や宇宙をかけ合わせたグッズ制作にも挑戦したいとのこと。宇宙とキャラクターをつなげられるものがあれば、積極的に取り入れていくそうです。宇宙と推しがつなぐ可能性は無限大。宇宙をより身近に感じられるようなサービスの展開が楽しみです。
 
 
推し宙プロジェクト
https://oshisora.jp/
 
Chart株式会社
https://chart1.space/
 
株式会社sorae
https://sorae.info/
 
ふわころもち合同会社
https://fcmochi.com/
 
オタクと推しと推し活と。新時代のマーケティング
第3回 スペースバルーンで高く舞い上がる。推しに見せたい美しい景色
(2025.2.19)

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